VALUE司法書士法人

新着情報

株主総会・取締役会運営:取締役会議事録を完全オンラインの提出のみで済ませるには(クラウドサインが商業登記に利用可能に)

2021.02.05更新

株主総会・取締役会運営:取締役会議事録を完全オンラインの提出のみで済ませるには(クラウドサインが商業登記に利用可能に)

商業登記を申請する際にクラウドサインを利用できるようになりました

会社法上、取締役会議事録は出席取締役及び監査役による記名押印または署名を施さなければならないとされておりますが(会社法369条3項)、取締役会議事録がPDFデータ等の電磁的記録によって作成する場合も許容されており(同条4項)、この場合は紙ベースでの記名押印または署名に代わる措置(=電子署名)を採る必要があります。

この点、2020年6月より、取締役会議事録その他商業登記を申請する際に添付書面を「紙」ベースではなく完全にオンラインで用意する場合に、一部民間のクラウドサインを利用できるようになりました。商業登記申請に利用可能な電子証明書は法務省HPに列挙されており、これらの電子証明書を利用する場合に限り、各取締役は取締役会議事録に押印作業では無く電子署名のみによって済ませることができ、かつこれを登記に使用することができるようになります。

例えば、商業登記に際し取締役会議事録を紙ベースで用意せずPDF等の電子データのものを使用する際、各取締役は以下の電子署名を行えば足りることになります。

  • 代表取締役(法務局に印鑑登録をしている代表取締役)⇒商業登記電子証明書
  • それ以外の取締役、監査役⇒クラウドサイン等の民間の電子証明書(ただし、法務省HPに列挙されているものに限ります。)

民間の電子証明書は従来の認印の役割しか果たさない、また、商業登記電子証明書を取得する必要がある

ここでのポイントは2つとなります。

  • ①民間のクラウドサイン等の電子証明書を使用できるのは代表取締役(法務局に印鑑登録をしている代表取締役)以外の取締役(法務局に印鑑登録していない代表取締役を含みます)、監査役であること。つまり、民間の電子証明書は従来の認印(三文判)の役割しか果たさないこと。
  • ②法務局に印鑑登録をしている代表取締役は、法務省HPに掲げられている所定の手続に従って商業登記電子証明書を取得し、それを用いて電子署名をする必要があること。

上記の電子証明書の取り扱いは、法務局に印鑑登録をしている代表取締役が法務局届出印(いわゆる会社実印)を押印している場合に限り、他の取締役及び監査役は実印に限らずどのような印鑑の押印(署名)でも良い(=認印で良い)とする商業登記規則61条6項の規制に平仄を合わせたものですので、商業登記規則本体が改正されない限りは致し方の無い(ここまでが限界の)取り扱いであると言えるでしょう。

その意味では、取締役会議事録その他商業登記を申請する際に添付書面を「紙」ベースではなく完全にオンラインで済ませるには、利便性という意味ではまだまだ道半ばと言えるでしょう。

VALUE司法書士法人のサービス

株主総会・取締役会運営法務支援

オンラインミーティングを一部取り入れた場合におけるこれらの運営や株主総会・取締役会議事録の記載のポイント等につき、クライアントの皆様に正確にコンサルティングを致します。