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組織再編:株式交付手続の法務スケジュール案

2021.07.06更新

【組織再編】株式交付手続の法務スケジュール案

株式交付とは?

株式交付とは、本年3月1日に施行された新しい組織再編手法の一つで、ある株式会社が他の株式会社を子会社化するために当該他の株式会社の株式を取得し、それと引換えに自社の株式等を当該他の株式会社の旧株主に交付するいわば「一部株式交換」といった性質を有する組織再編行為です(会社法2条32の2号)。

株式交付の実務上の効用は税法上の取扱いの改正が実現するかどうかによるところが大きく、本稿執筆時点で実際に株式交付がなされた例は目立ちませんが、本稿では株式交付をする会社(他の株式会社の株式を取得する方の会社:株式交付親会社)、株式交付によりある株式会社の子会社となる当該他の株式会社(株式交付子会社)及び株式交付子会社の株主の3者の立場に分けて、法務スケジュール案を検討してみたいと思います。

なお、本法務スケジュール案では株式交付親会社、株式交付子会社との非公開会社であって取締役会設置会社であることを前提とします。

株式交付親会社の手続

  • ①(X日)株式交付計画の作成(会社法774条の2)
  • ②(X日)株式交付計画等につき株式交付子会社株主への通知(同774条の4の1項)
  • ③(X日)株式交付計画の決定及び株式交付に応じた株式交付子会社株主への自社株式の割当にかかる(条件付き)取締役会決議(同774条の5の1項)
  • ④(X日~数日後)事前開示書面の備置(同816条の2)
  • ⑤(X日~数日後)株式交付にかかる自社株主に対する通知兼株主総会招集通知の送付(同816条の6の3項、299条1項)
  • ⑥(X日から最低中1週間)株主総会における株式交付計画承認決議(同816条の3)
  • ⑦(⑥の後速やかに)株式交付子会社株主への自社株式の割当個数の通知(同774条の5の2項)
  • ⑧(X日~1か月程度)株式交付効力発生日(同774条の3の1項11号)
  • ⑨(⑧から6ヵ月間)事後開示書面の備置(同816条の10)
  • ⑩(⑧の後速やかに)株式交付子会社への株主名簿名義書換請求(会社法133条1項)

株式交付子会社の手続

  • ①(X日~株式交付効力発生日の前日まで)株式交付の手法による自社株式の譲渡承認にかかる取締役会決議(会社法139条1項)
  • ②(①の後速やかに)株式交付の手法による自社株式の譲渡承認をした旨の譲渡承認請求株主への通知(同139条2項)
  • ③(株式交付の効力発生後速やかに)株式交付の手法による自社株式の譲渡にかかる株主名簿名義書換(同133条1項)

株式交付子会社の株主

  • ①(X日~速やかに)株式交付親会社への株式交付に応じることの申込み(会社法774条の2の2項)
  • ②(X日~株式交付効力発生日の前日まで)株式交付の手法による自社株式の譲渡承認請求(同136条)
  • ③(株式交付の効力発生後速やかに)株式交付子会社への株主名簿名義書換請求(会社法133条1項)

株式交付における組織再編手続は基本的に株式交換におけるそれとパラレルに作られているため、債権者保護手続は原則として不要となります(会社法816条の8参照)。その他、株式交付親会社の株主総会決議を要しない場合(同816条の4)等については、上記はあくまでスケジュール案であることも踏まえ、考慮しておりません。

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