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ストックオプション:上場企業における有償新株予約権の役員報酬該当性(会社法改正以降)

2021.02.05更新

ストックオプション:上場企業における有償新株予約権の役員報酬該当性(会社法改正以降)

ストックオプションの発行を取締役会決議のみで済ませたい場合

ストックオプション(新株予約権)を発行する際には会社法上、

  • 取締役会限りで発行可能なケース
  • 株主総会決議を行わなければならないケース

に分かれますが、特に上場会社においては、年に1度の定時株主総会の時期以外に発行する場合には取締役会決議のみで済ませたいというニーズが大半です。

上場会社は取締役会決議限りで発行可能

この点、会社法上はストックオプション(新株予約権)発行決議は原則として株主総会決議ですが(会社法199条1項)、公開会社は取締役会決議限りで発行可能とされております(同201条1項)。この点、上場会社は原則として市場において自由に株式の売買が出来る以上、公開会社であることが通常であるため、この点はクリアされます。

上場会社において株主総会決議が必要な場合

次に、上場会社において株主総会決議が必要かどうかの分岐点としては

  • ① 有利発行規制
  • ② 役員報酬規制

の2点について留意が必要となります。

有利発行規制とは?

準備中 有利発行規制とは?

上場会社においては有利発行規制については特段論点とならない

①の有利発行規制については、これまでの議論では無償ストックオプション及び有償ストックオプションとも、概ね有利発行規制には該当しないとされてきました。

すなわち、無償ストックオプションにおいては、無償であったとしても役職員向けの場合は、そのストックオプションを付与する役職員から会社は何らかの便益を受けているのであるから無償であったとしても「金銭の払込みを要しないこととすることが当該者に特に有利な条件である」(会社法238条3項1号)ことには該当しないものと解されています。

また、有償の場合はそもそもストックオプションの付与時にその対価を払い込む(または現物出資もしくは相殺する)のであるから、その対価が適正である限りはその払い込む額が「特に有利な金額」(会社法238条3項2号)には該当しないものと解されています。

よって、上場会社においては有利発行規制については特段論点とならないことが多いといえます。

役員報酬規制とは?

準備中 役員報酬規制とは?

役員報酬規制については役員報酬決議にかかる株主総会が必要

他方、役員にストックオプションを付与する場合において、②の役員報酬規制については原則としてストックオプションは役員報酬に該当するので(会社法361条1項)、ストックオプション発行分において役員報酬決議にかかる株主総会は必要とされています。

有償ストックオプションの場合は従来通り株主総会決議は不要とする考え方が支配的

ただし、有償ストックオプションに限っては、付与時に対価を払い込んでいるのであるから、ストックオプションを付与される役員が会社から一種の金融商品を購入していることと同義であるのであるから役員報酬では無いという考え方より、役員報酬には概要せず役員報酬にかかる株主総会決議も不要、という考え方が通説でした。

近時、ストックオプションの会計基準の変更によって有償ストックオプションも役員報酬規制に服するといった説も有力ではあるものの、この点に立ち入った議論はあまり見られず従来通り株主総会決議は不要とする考え方が支配的であると思われます。

会社法改正後も有償ストックオプションは取締役会限りで発行可能とする考え方が可能

2021年3月1日より、役員報酬規制に関する会社法の改正法が施行されます。この点、本改正が②の考え方に変更を及ぼすのかどうかについては、同じく明示的な議論は行われているとは言い難い状況です。

一つの考え方としては、改正後改正後361条の条文を素直に読めば、改正の趣旨は役員報酬の一態様としての新株予約権の内容を明確化して株主の承認を仰ぐといったことにあるのだから、有償・無償に関わらずおよそ役員に付与するストックオプション(新株予約権)は役員報酬規制に服するといった考え方も可能でしょう。

しかしながら、そもそもインセンティブプランや資本政策上、機動的にストックオプションを付与したいという実務上の要請に鑑み、従来有償ストックオプションが取締役会限りで発行されてきた実務が今般の会社法改正によって全て覆されるのかというと、それは甚だ疑問であり、会社法改正後もそもそも有償ストックオプションはそもそも「報酬等」(会社法361条1項柱書)には該当しないという考え方のもと、取締役会限りで発行可能とする考え方も可能であると考えられます。

株主総会議事録は新株予約権発行登記の際の添付書面としては不要

最後に、本稿における登記実務との関連では、①の有利発行規制も、②の役員報酬規制も登記上の審査事項では無く、上場会社(公開会社)において仮にこれらに該当するとしてもこの決議をしたことを証する書面(株主総会議事録)は新株予約権発行登記の際の添付書面としては不要となります。

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